役員報酬の減額について

こんばんは

さきほど、コロナの影響で、苦しんでいる会社の社長が、
役員給与の減額をするという話を聞いたので、
今日は、役員報酬の減額について、書かせていただきます。

原則、会社の役員給与(社長や専務、常務などに対する給与)については、
毎月、同額でなければならず、
変更する場合は、
通常、年1回の会社の決算終了後の定時株主総会で
次の1年間の役員報酬を決めていきます。

ただし、定時株主総会以外でも、次の場合には変更が認められます。

〇臨時改定事由
年の途中で社長になったり、平の役員が社長になった場合などの
役員の地位に変更があった場合や、
病気で入院して働けない場合などやむを得ない事情が生じた場合。

〇業績悪化改定事由
会社の経営状況が著しく悪化し、役員報酬を下げざるを得ない事由が生じた場合。
※業績悪化改定事由は、役員給与を下げる場合のみ認められます。

この業績悪化改定事由については、
「赤字になりそうだから」や
「目標に達しなかったから」
「一時期的な資金繰りのため」だけでは、認められず、
「役員給与を下げざるを得ない」ようなやむを得ない事情がある場合に
認められます。

例えば、次のような客観的事情がある場合とされています。
① 株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から、役員給与の額を減額せざるを得ない場合

②取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケの協議において、
役員給与の額を減額せざるを得ない場合

③業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、
取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、
経営状況の改善を図るための計画が策定され、
これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

同族会社の①の適用については、
役員と株主が同じ人物で親族の場合が多いため、
役員給与の額を減額せざるを得ない客観的かつ、
特別の事情を具体的に説明できるようにしておく必要になります。
詳しくは、こちら

今回のコロナの場合に経営状況が悪化した場合に、
業績悪化改定事由に該当するかどうかについて、
国税庁のFAQに掲載がされています。
詳しくは、こちら

通常、業績悪化改定事由は、非常に厳格ですが、
FAQを読むと、
今回のコロナの影響による業績悪化改定事由は、
客観的事情について弾力的に取り扱われるように感じますね。

なお、業績悪化改定事由に該当しても、
役員報酬の変更の議事録の作成をしていないと、
否認される可能性があるため、議事録をしっかり作成しましょう。