役員借入金と相続税について

今回は、会社に役員さんがお金を貸している場合のリスクと対処法について、説明します。

会社のお金が足りないとき、代表者個人のお金を会社に入れることは、よくあることですし、特に問題ありません。
ただ、その代表者が亡くなった時には、相続税の問題が発生します( ゚Д゚)

例えば、会社に代表者からの借入金が1億円あり、その代表者が無くなった場合、その代表者の相続税の対象となる財産には、その会社に返済の見込みが無いと思っていても、その会社への貸付金1億円が含まれます。
その代表者に財産が他になく、相続人が子供1人の場合、およそ1,220万円の相続税が発生してしまいます(;゚Д゚)

返ってくるかどうか分からないのに、多額の相続税を払わなければならないという状態です。
相続を放棄する事も出来ますが、ケースによっては出来ない場合やしない方が良い場合もあります。
そのため、役員からの借入金は増やしすぎないように注意する必要があります。

役員借入金を減らす方法
①役員給与を減額して減額分を借入金の返済の原資とする方法
 時間的に余裕があれば、有効です。ただし、減額した分だけ利益も増えるため、税金も増えます。また役員給与を変更できるのは、原則年1回のため、減額する場合は次の定時株主総会まで待つ必要があります。

②役員借入金を免除する方法
 一度に多額の役員借入金を減らす場合に、有効です。
 その会社が青色申告で繰越欠損金が多く、免除した後も会社が債務超過の場合でなければ、債務免除益として法人税が課税されたり、株主の贈与税の問題も発生します。
 また、その後会社の状況が良くなったとしても、一度免除した金額は、返してもらえません。

③役員借入金を会社の資本金に振り替える方法
 繰越欠損金が無い場合にも、有効です。
 役員の財産が会社に対する貸付金から会社の株式に変わります。貸付金は額面で相続税が課税されるのに対し、株式は時価で課税されるため、額面より株式の時価が低くなる場合に有効です。
 ただし、役員借入金を資本金に振り替えるため、資本金の額が増えます。そのため、法人住民税の均等割などの資本金の額に応じて税金が軽減されていたものが、受けられなくなります。

②と③については、その会社の状況等により取り扱いが異なってくるため、税理士とよく相談して行いましょう。